【連載コラム】倉庫業務マネジメント~つながる DX、WES の役割~第2章

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『倉庫業務総合研究会』の渡辺秀治氏による連載コラム、第2回は『アクティビティの定義」をお届けします。

 
<第1回・概要 はこちら>
 

【第2回】倉庫業務マネジメント~つながる DX、WES の役割~

第2章:アクティビティの定義

     

  1. 1) 機能階層モデルのアクティビティ
  2. 2) 領域別管理のカテゴリと情報管理
  3. 3) 物流機能モデルのカテゴリと情報管理
  4. 4) オペレーション管理のカテゴリと情報管理
  5. 5) コントロールセンター機能
  6. 6) 装置別管理カテゴリ(レベル1・レベル0)

 
倉庫業務のアクティビティは倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルでの定義することにより、WMS・WES・WCSのそれぞれの領域を明確にするとともに、特に、WMSとWCS間における情報の分断を解消します。
 
WMSの領域とWCSの領域の間にある、情報の分断には、時間的概念の違いが影響として大きく関係しています。WCSは、物理的な機械、装置の状態把握や計測、操作に関連するアクティビティを秒/ミリ秒で実行管理することに対して、WMSは、要求された作業を実行するためのワークフローに関するアクティビティを日/シフト/時間/分で実行管理します。
 
倉庫業務のアクティビティは、「領域別」「物流機能別」「装置別」といった、従来からの業務沿った分類が存在し、「機能階層モデルでの定義」はこれらとの関係性を明確に示すために、それぞれのアクティビティを定義し、実装された情報システムにおいて実行されます。
 

表 1:機能階層モデルの時間概念

表 1:機能階層モデルの時間概念

 

1) 機能階層モデルのアクティビティ

倉庫業務マネジメントの機能階層モデルでは、全社レベルのアクティビティをレベル4、拠点内のアクティビティをレベル3、作業、装置に近いレベルのアクティビティをレベル2でそれぞれモデル化します。
 
レベル1およびレベル0は、自動制御および装置そのものをアクティビティとして位置付けます。
 

図 5:機能と情報のつながり

図 5:機能と情報のつながり

■レベル4のアクティビティ
機能階層モデルのレベル4では、全社組織としてのアクティビティを定義し、実行します。
 
計画管理として、販売計画、および、生産計画にもとづく在庫調整、梱包等資材の所要量計画と調達計画の機能を実行します。業務管理として、受注管理、調達管理、出荷業務管理、輸送手段の確保と輸送計画の機能を実行します。計画および業務管理の機能については、拠点ごとの指示に分解し、レベル3のアクティビティと接続します。
 
在庫管理として、拠点ごとの在庫量の把握、および、拠点間の在庫把握の機能を実行します。在庫情報については、レベル3のアクティビティと接続し、情報収集したうえで集計されます。
 
資源管理として、人的資源の確保、エネルギー供給の確保、拠点管理および倉庫内設備の確保の機能を実行します。資源管理情報については、必要に応じてレベル3、レベル2の機能階層にて共有されます。
 
■レベル3のアクティビティ(WMSの領域)
機能階層モデルのレベル3では、WMSの主たる機能である拠点ごとのアクティビティを定義し、実行します。
 
拠点内での入出荷作業に関する業務管理、および、スケジューリングの機能を実行します。機能階層モデルのレベル4で実行された、計画管理機能、業務管理機能から拠点ごとに分解された情報を収集し、それぞれ入荷予定、出荷予定に展開し、拠点として指示レベルの分解、集計し、機能階層モデルのレベル2のアクティビティと接続します。
 
スケジューリングの機能では、割り込み受注に対応した計画変更についても機能として実行します。
 
拠点内での入出荷作業の結果(実績)について、情報把握を機能として実行します。在庫情報に関しては、スケジューリングされた情報について、在庫引き当てを行い、作業実績情報で引き落としを行います。拠点内作業として実行される、物流品質検査業務の実績記録を機能として実行します。
 
実績情報については、機能階層モデルのレベル3において、拠点内での作業状況を把握するために統計的分析を実行します。作業実績情報の把握は、レベル2のアクティビティと接続し、情報収集したうえで集計されると同時に、在庫情報を集計して、レベル4のアクティビティと接続します。
 
■レベル2のアクティビティ(WESの領域)
WMSとWCSの間に存在する情報の分断を解消するために倉庫業務マネジメントにおけるレベル2のアクティビティは、より重要な要素となります。作業および装置に近い位置で、さまざまなアクティビティを定義、実施します。
 
機能階層モデルのレベル3より得た、入荷予定(スケジューリング)情報は、詳細スケジュールとして作業分解し作業情報を生成します。受注の修正が発生した場合はスケジュールを変更し、修正した作業情報を生成します。作業情報は機能階層モデルのレベル1(エッジコンピュータ)のアクティビティと接続し、ライン(作業)や設備(装置)へ運転指令情報を送信します。修正情報が生成された場合も同様に運転指令情報を送信します。
 
ラインや設備の稼働状況、作業進捗、エネルギーの使用状況を機能階層モデルのレベル1と接続し、情報を収集します。実績情報については、機能階層モデルのレベル2において、ラインや設備の状況把握のための統計的分析を実行します。作業実績情報については集計されると同時に、機能階層モデルのレベル3のアクティビティと接続します。
 
流通加工が行われる場合の梱包等資材や貨物の移動または保管については、機能階層モデルのレベル2のアクティビティにおいて定義、実行します。
 
物流原価計算のための、直接人件費項目、直接経費項目、間接費項目の情報および間接費配布基準の項目の情報収集をレベル2のアクティビティにおいて定義、実行します。情報の一部は、機能階層モデルのレベル1のアクティビティと接続し、情報を収集します。
 
作業・設備の基本情報、および、ラインや設備稼働状況を機能階層モデルのレベル1と接続して、実績情報を収集分析し、機能階層モデルのレベル2のアクティビティでは、保全業務を計画し詳細スケジュールの作業分解時に反映します。保全業務の実行情報についてその記録を機能階層モデルのレベル2のアクティビティで管理する機能を定義、実行します。
 
機能階層モデルでは、レベル2の情報集約する接続先(上位接続先)は、時間的概念が吸収できる場合を前提として機能階層モデルのレベル4のアクティビティと接続し、基本情報・計画情報の受取、実績集計の提供を行う場合があります。なお、この場合はシステムの複雑性(例えば、拠点ごとに接続の形態が異なるなど)について、回避する必要があります。
 

■レベル1のアクティビティ(WCSの領域)
機能階層モデルのレベル1は倉庫内に設置された制御対象機器(マテハン機器等)を遠隔で自動制御するためのアクティビティを定義し、実行します。
 
機能階層モデルのレベル2のアクティビティと接続し、運転指令を適切なタイミング、かつ、最速で送信します。制御対象機器に対しては、実行状態について、機器に取り付けられたセンサーや計測機器によりリアルタイムで監視し、実績データを収集・保管します。また、実行状態に応じたリアルタイムで必要な指令を送信します。
 
ラインや設備の稼働状況、作業進捗、エネルギーの使用状況など、一定の基準に沿って、集計し、機能階層モデルのレベル2のアクティビティと接続します。そのうえで、これらの情報を連続的に監視する機能については、機能階層モデルのレベル1に構築します。(コントロールセンターとしての機能を持たない場合は、機能階層モデルのレベル0の中で、個々の装置で、連続監視する機能を構築する場合があります。)
 
機能階層モデルのレベル1のアクティビティは、原則として人手による作業は含まれません。装置を円滑に作動させるためや、物流品質を担保する業務に対して、タイミングの指示や制御動作の一時中断などを定義し、実行することが含まれる場合があります。
 
■レベル0のアクティビティ
機能階層モデルのレベル0は倉庫内に設置された機械装置(マテハン機器等)そのものを指します。機械装置が単体で動作するための最低限の機能の実行を示します。機能階層モデルのレベル0の機能はそれぞれの機械装置メーカーが装置に組み付けて提供する機能になります。
 
また、人手による作業そのものについては、レベル0の業務として位置付け、情報ツール(ハンディターミナル等)を使用する場合には、レベル1または、レベル2のアクティビティと接続する機能が定義されることがあります。
 

表 2:機能階層モデルのアクティビティ

表 2:機能階層モデルのアクティビティ
 

 

2)領域別管理のカテゴリと情報管理

物流の構成として「調達」「生産」「販売」「回収・再生」という分類したものが、領域別管理です。領域別管理のカテゴリは、機能階層モデルのレベル4を上位として、レベル3(WMSの領域)の情報管理を行います。
 
領域別管理は、財の流れに着目した企業活動における物流機能の分類であり、物流条件(法規制や品質条件など)、物流組織(体制やルール・手順など)、物流活動(後述の物流機能モデルのカテゴリ)が、それぞれの分類に対して割り付けられます。
 

図 6:企業活動おける物流の構成

図 6:企業活動おける物流の構成
 
物流原価の算定をする際に、支払い形態別に集計されたコストは領域別に集計をされます。領域別管理のカテゴリで、モノの流れをしっかりと把握し、情報としてとらえ、分析することは物流品質の向上を実現し、現場における生産性を高めるために、最も必要な情報管理であると言えます。
 
■調達領域の情報管理
倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル4において、調達の結果として、入出荷管理・在庫管理の機能が次のアクティビティとして発生します。荷役として人が関わる作業においては、WMSがアプトプットを発信します。
 
荷役としてマテハン機器の制御が実行される場合は、倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル2において、WESの機能が詳細スケジュールにもとづく制御情報を発信します。また、WMSが実行の結果を収集し、集計、分析します。
 
■生産領域の情報管理
倉庫業務マネジメントにおける生産領域は社内物流領域と考えることができます。
 
生産との接続については、WMSとWESの機能がMES(Manufacturing Execution System/製造実行システム)の機能と接続し、情報を共有します。倉庫業務マネジメントではWMSおよび、WESはMESと相互に接続され、情報の共有が図られることが理想となります。これにより、倉庫業務、製造業務の双方から社内におけるモノの動きが明瞭に把握できることとなります。
 
図 7:MESとの接続

図 7:MESとの接続
 
■販売領域の情報管理
倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル4における、販売先・出荷先からの受注情報にもとづき、入出荷管理のアクティビティを実行します。荷役として人が仕分け、荷揃えなどの作業に携わる場合においては、WMSがアプトプットを発信します。
 
荷役としてマテハン機器の制御が実行される場合は、倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル2において、WESの機能が詳細スケジュールにもとづく制御情報を発信します。また、WMSが実行の結果を収集し、集計、分析します。
 
■回収・再生領域の情報管理
改修・再生の領域は、調達の領域と同様に、倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル4において、回収の結果として、入出荷管理のアクティビティを実行します。荷役として人が関わる作業においては、WMSがアプトプットを発信します。
 
荷役としてマテハン機器の制御が実行される場合は、倉庫業務マネジメントにおける機能階層モデルのレベル2において、WESの機能が詳細スケジュールにもとづく制御情報を発信します。
 
再生が行われる場合において、必要な情報は、再生のための外部システムまたは、MESとの情報の共有が図られます。

 

 

3)物流機能モデルのカテゴリと情報管理

物流機能モデルは、「輸送・配送」「保管」「荷役」「包装」「流通加工」という物流の5大機能において、活動よるカテゴリ分類を行い、情報管理の内容を定義します。物流機能モデルは、領域別管理で示された、物流活動についての詳細分類に位置付けられます。
 
物流は、生産と消費のギャップを埋める働きをするもので、輸送は空間のギャップを埋めるものであり、保管は時間のギャップを埋める働きであると言えます。そして、荷役は、輸送(リンク)と保管(ノード)ののつなぎ目の役割をするものです。
 
倉庫業務マネジメントでは、これら活動の相互に関連した機能に適した情報管理を、主にエンタープライズ階層モデルにおけるエンタープライズ層において行います。
 
■輸送・配送
物流における最大の活動は、空間のギャップを埋める(リンクする)輸送・配送機能です。倉庫業務マネジメントでは、組織として設計された、輸送の始点から終点までの情報を管理します。
 
倉庫業務マネジメントでは、輸送・配送機能の一部として、荷役の機能と連動して、トラックバースを資源として、管理する機能を備えます。
 

■保管
保管機能は、保管物の安全管理(例えば施錠など)、品質の保持(例えば冷凍貨物の保管温度など)が重要な業務になります。
 
保管は、時間のギャップを埋めるノードであります。経営的には、時間を埋める空間を設計する際に、保管効率の最大化や作業効率が向上など、物流設計にもとづき計画され、投資資源の有効活用(アセットマネジメント)を目指します。
 
倉庫業務マネジメントでは、在庫情報に、組織として、物流設計にもとづき計画された情報を付加して、情報を管理します。
 
■荷役
輸送されてきた荷を倉庫に保管するための荷降ろし、倉庫内での搬送、保管場所ごとの入庫作業、仕分け、積み込みなど、組織として物流設計された活動の情報を管理します。荷役の機能は人手に頼るところが多くありますが、ピッキングや搬送など自動化が進みつつあり、情報管理の重要性は増しています。
 
■包装
包装機能は、品物の特性表示、内容物の保護、荷役のユニット化などの手段として行われます。その作業の多くは、生産工程の最終工程に存在します。包装機能の情報管理は生産管理との連携でもあります。
 
■流通加工
流通加工機能は、ギフトの詰め合わせ、解体、値付けなど主に保管・荷役の段階で実施される簡易な加工のことを指します。包装機能と同様に生産工程に位置付けられることもあります。流通加工機能の情報管理は生産管理との連携も考慮し、重複しないように計画する必要があります。
 

 

4)4) オペレーション管理のカテゴリと情報管理

倉庫内における業務は、「図 8:倉庫内の業務」に示すようなものが存在します。これらの業務についての情報(指示)は、組織全体から拠点に伝達され、作業エリアに伝達されて実行されることになります。
 
倉庫業務マネジメントにおける、個々のオペレーションは、機能階層モデルのレベル4(組織全体のレベル)から機能階層モデルのレベル3(WMSの領域)へ情報が伝達され、WMSで最適作業に分解されたのち、機能階層モデルのレベル1(WCSの領域)に伝達されます。
 
この一連の処理の間に、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)では、時間の概念を解消し、「機能階層モデルのレベル3」と「機能階層モデルのレベル1」の間に存在する、情報伝達の分断を回避します。
 
機能階層モデルのレベル2(WESの領域)においては、倉庫業務のそれぞれのオペレーションは、マテハン機器同士や、複数の作業を行う業務において、それぞれのオペレーション間で情報の引き渡し(情報の引き継ぎ)を行います。

 

図 8:倉庫内の業務

 
■入荷・検品
組織レベルで発注した商品は、拠点に入荷されます。入荷の際には、検品を行い、数量に間違いがないか、品質に異常がないか確認します。
 
機能階層モデルのレベル2(WESの領域)が収集する入荷実績情報は、機能階層モデルのレベル3(WMSの領域)を経由して、最上位層である機能階層モデルのレベル4に送信され、計画に対しての実行結果の確認を行うことになります。WESで把握される情報は、機能階層モデルのレベル4で発行された発注情報と、最終的にリンクします。(発注情報の消込み)
 
社内物流の場合、入荷と同時に出荷元拠点の在庫の引き落としが行われることがあります。(出荷元拠点の出荷時に入荷拠点の在庫計上が行われるケースもあります)拠点間の在庫移動のほか、生産活動による入庫なども含まれます。
 
WESは、WMSが調整した拠点ごとの在庫について、実行レベルでWESの入荷・検品機能が作用します。
 
入荷・検品カテゴリの実行レベルでの情報については、オペレーション管理の保管のカテゴリ、その他のカテゴリとも相互に作用します。
 
■保管
全社組織においては、物流設計された定義にもとづいて、機能階層モデルのレベル4で、貨物を保管する拠点(サイト)が管理します。また、貨物の特性(例えば保管温度等)に応じて、機能階層モデルのレベル3(WMSの領域)の機能において、保管する倉庫が管理します。さらに、業務実行において、機能階層モデルのレベル3または、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)の機能において、保管するロケーションが管理します。
 
WESは、実行レベルにおいて、貨物が保管されるロケーションを管理するともに、機能階層モデルのレベル1(WCSの領域)のアクティビティに対して、管理されたロケーションへの入出庫を実行します。
 
保管機能では、適時、機能階層モデルのレベル1またはレベル0において、棚卸しが実行されます。棚卸し情報は、最適なタイミングにおいて、機能階層モデルのレベル2を通じて、機能階層モデルのレベル3、および、機能階層モデルのレベル4で共有されます。
 
保管カテゴリの実行レベルでの情報については、オペレーション管理の入荷・検品のカテゴリや、仕分け・荷揃えのカテゴリ、その他のカテゴリとも、相互に作用します。
 
■仕分け・荷揃え
組織レベルで受注した商品は、拠点にて仕分け・荷揃えを行ったうえで、出荷されます。
機能階層モデルのレベル2(WESの領域)が収集する仕分け・荷揃え実績情報は、機能階層モデルのレベル3(WMSの領域)を経由して、最上位層である機能階層モデルのレベル4に送信され、販売実績情報として取り扱いされます。
 
仕分け・荷揃えのカテゴリの実行レベルでの情報については、オペレーション管理の保管のカテゴリや、出荷・移動のカテゴリ、その他の、カテゴリとも相互に作用します。
 
■出荷・移動
社内物流の場合、出荷と同時に入荷元拠点の在庫の引き落としが行われます。(入荷元拠点の入荷時に出荷拠点の在庫が引き落としされるケースもあります。)
 
WESは、WMSが調整した拠点ごとの在庫について、実行レベルでWESの出荷・移動機能が作用します。
 
出荷・移動のカテゴリの実行レベルでの情報については、オペレーション管理の仕分け・荷揃えのカテゴリや、その他のカテゴリとも相互に作用します。
 
特に、仕分け・荷揃えのカテゴリと出荷・移動のカテゴリについては、物流機能モデルの荷役と輸送(配送)の関係と同様に、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)として、より密接な関連性を持った機能として作用する実行状態がもたらせることになります。
 
■品質管理
物流設計において定義された基準について、『場所』『時間』『コスト』『量』『質』が、保たれていることを、品質管理機能で実行します。
 
物流機能モデルの輸送機能における品質管理項目として、積載効率、到着時刻(出荷時刻)、配送先などがあげられます。
 
物流機能モデルの保管機能における品質管理の項目として、棚卸し差異、保管費用、保管時間(長期滞留の回避)や在庫数量(安全在庫数の最適化)があげられます。また、在庫管理が最適に実行できる環境であるかが重要で、貨物の特性に合わせたマテハン設備が選択されていることについて、実行レベルの分析を行います。
 
物流機能モデルの荷役機能における品質管理項目として、荷役作業(ピッキング、検品、出荷)の精度、作業時間(生産性)、汚破損率などがあげられます。荷役機能では、時間効率と正確性が求められます。
 
物流機能モデルの流通加工機能における物流品質管理のポイントは、荷役と同様、時間効率と正確性です。物流機能モデルの流通加工機能では、加工作業の精度、作業時間(生産性)が品質管理項目としてあげられます。
 
物流機能モデルの包装機能は、多くの場合、生産の最終工程に位置付けられることについては、先に述べた通りです。包材の強度や包装資材等のコストなど輸送中の汚破損率を最小にする設計となっているかを、生産管理機能に包括して品質管理機能として実行されることが最適であると考えられます。
 
■設備マネジメント
設備マネジメントとは、物流設備全般(建物、建物設備、物流機器等)について、重要度検討を行ったうえで、常に最善の状態で稼働ができるよう管理することです。
 
建物や設備、機器について、その寿命は無限ではありません。倉庫業務マネジメントが十分に機能するためには、その環境も最適であることが求められます。機器が故障、破損する要因は、稼働時間、設置期間、設置環境の変化、不慮の事故、操作ミスなど多岐に渡ります。倉庫業務マネジメントを運用するうえで、これら、故障、破損のリスクに備える必要があり、分析に必要な情報については、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)で情報収集し、分析します。
 
機能階層モデルのレベル2では、物流設備全般について、リスト化、図面化、マニュアル等文書の整備、リスク判断、リスクにもとづく保全など実行します。

 

 

5)コントロールセンター機能

倉庫業務マネジメントでは、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)にコントロールセンターとしての機能を構築する必要があります。
 
オペレーション管理のカテゴリで発生する、指示データはコントロールセンターからデータを発信されて、マテハン機器に伝達されます。時間的要素による、情報の分断を解消し、的確なタイミングで、必要なデータを送信します。また、装置のセンサー等の情報を収集し、連続的監視を実現する機能を構築します。
 
複数の装置と通信を行うため、伝送制御が行われることが必要となります。データリンク制御においては、ポーリング/セレクティング方式が用いられるAPI(Application Programming Interface)やソケット通信を持つAPIによって装置と高速に接続できる通信手順が用いられます。
 
EthernetによるTCP/IP接続が代表的な接続方法になりますが、マテハン機器においては、RS-232C通信やフィールドネットワークで接続することも想定しなければなりません。
 
ネットワーク接続を行うほか、QRコードなどの二次元コードを発行する、ICタグへの情報書き込む等の方法により、現品に情報を付属することも可能です。
 
コントロールセンター機能では、倉庫内の主要なマテハン機器の動作状況を確認する画面を構築します。
 

図 9:コントロールセンターのイメージ

図 9:コントロールセンターのイメージ

 

 

6)装置別管理カテゴリ(レベル1・レベル0)

倉庫業務マネジメントにおける、装置別管理のカテゴリは、機能階層モデルのレベル1(WCSの領域)、機能階層モデルのレベル0(マテハン機器)であり、それぞれ上位層からの指示にもとづいて、作業そのものを実行する階層になります。
 
主に、機能階層モデルのレベル2(WESの領域)から、情報を得て、倉庫内での商品を自動的に移動させて荷役作業を行います。重量物の運搬、大量に連続する作業、高速で実行される作業については、専用のマテハン機器が導入されて作業されています。

表 3:装置別の主なオペレーション

表 3:装置別の主なオペレーション

 
 
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