株式会社アイティエスは、品川と戸越に物流拠点を構え、都内23区を中心に運送事業・倉庫事業を展開しています。
現在、バンタイプのハイエースや2トントラックでの配送から、運ぶ前の伝票チェックや商品の検品、また、指定場所への商品設置など配送だけでない＋αのサービスを一緒に提供しています。
シーネットの在庫管理システムは、荷主様の要求に応えていくことを目的に導入して頂き、今では効率の良い在庫管理を実現されています。
今回は、システム導入の経緯や導入効果、今後の展望をお伺いしました。

倉庫業を開始した当初は、荷主様の倉庫を間借りして商品を預かり、自社の配送車で配達するだけという簡単な運用を行っていました。在庫管理は紙のリストで行っていたため、見間違いによる商品・数量の出荷ミスや、欠品による機会損失などが発生していました。 また、リストの見方が複雑で覚えるまで時間がかかる点が、新人教育においての課題にもなっていました。
そのような中、荷主様からの外部委託のメリットを今以上に拡大させていきたいというご要望により、詳しくヒアリングを行う中で、在庫管理システムで課題の解決を効果的に進めることができると考え、システム導入の検討を始めました。

アイティエス（以下ITS）の取り扱う商品は、雑貨・食品・建材・販促品・サンプルなど種類が豊富にあるため、アパレル専用、食品専用など特定の業態や業種に特化しているようなシステムではなく、どんな商品管理にも柔軟に対応できる汎用性の高いシステムを探していました。
また、荷主様のご要望に応えるため、コスト削減や作業の正確性向上などが実現できるシステムを求めていました。

複数のベンダーを比較検討していたため、システムの選定には3～4ヶ月の時間がかかりましたが、シーネットのシステムのトライアル版を使用する中で、システムの汎用性の高さに気がつきました。
フリーロケーションと固定ロケーションの併用や項目設定が自由にできるため、商品の入れ替わりが激しく、種類も多い時期と少ない時期の振れ幅があるITSの業務に最適であると判断し、最終的に導入を決めました。
また、親身になって改善提案をしてくださったシーネットの担当者の方の人柄も決め手の一つとなりました。

面積が広く作業者も多い倉庫では、棚にロケーション番号を振って管理するのが一般的ですが、ITSの倉庫では70坪という限られた面積で多種多様なアイテムを管理しなければならず、商品の入れ替えも激しいという特徴があります。そのため、システム内に存在する「ゾーン」という概念が大変重宝しました。
ゾーンの中で、ロケーション、路順などの項目をさらに細かく設定することにより、お菓子はこの辺り、雑貨はこの辺りというような論理ゾーンを設けた管理やロケーション番号を振った管理が可能となりました。
これにより、商品の入れ替えにも柔軟に対応できるようになり、限られた面積を活かした効率の良い在庫管理が実現できました。運用開始から4～5回レイアウトを組み替えるなど、試行錯誤を繰り返して現在の配置となったのですが、システムのおかげでレイアウト変更も簡単に行うことができています。
また、既存の機能を応用し仮置きゾーンというゾーンを独自に新設することもできたため、入庫した商品をとりあえず置いておくスペースを確保でき、より運用がしやすくなりました。

以前は、在庫の欠品に気づかず発注があった際に商品を出荷できないことがあり、通販業務で受注を取り損ねることもありました。そこで、在庫がシステムに設定した値を下回るとアラートが出るというカスタマイズを新たに組み込むことにしました。
新たに実装したこの機能によって欠品を防ぐことができるようになったため、機会損失は無くなりました。今では、アラートが出たタイミングで荷主様に発注するかどうかを確認する、という形で運用をしています。

紙のリストで作業を行っていた際の新人教育では、商品の保管場所まで一緒に行き、「○○商品を○○個とって」と一つ一つ説明しなければなりませんでした。作業は一度覚えたとしても、見間違い等によるミスも多く、一人で正確な作業ができるようになるまで一週間程かかっていました。
しかしWMS導入後は、ハンディターミナルの操作方法さえ覚えれば正確な作業が可能になり、教育時間はわずか1日に短縮することができました。ピッキングだけなら新人でも30分程でできるようになります。
また、イベント関係の商品も多く取り扱っており、イベント終了後の多量な返品処理にも時間がかかっていたのですが、ハンディターミナルで商品のバーコードを一つずつスキャンするだけで、仕分けとカウントが一緒にできるようになりました。さらに、ベンダー別、商品別にデータ上の整理がされるため、返品処理の作業効率も向上させることができました。

ITSでは創業から現在に至るまで、運送事業をメインビジネスに成長を続けて参りました。しかし、車両の使用を伴う事業だけでは、燃料費の高騰や交通事故等によるリスクも大きいため、今後は事業の安定性を高めるためにも、倉庫事業もさらに発展させていきたいと考えています。
もちろん運送事業をおろそかにするということではありません。シーネットの在庫管理と車番認証のシステムを連携させ不審車両等の検知ができるようにしたり、運賃管理をシステム化したりなど、これからもお客様に＋αのサービスを提供し続けていくため、シーネットにも協力いただきながら運送事業もより一層強化していきたいと思っています。